釈迦
シャララ シャカ シャカ
シャララ シャカ シャカ
少女はアンテナ売りに恋をした
少女はそれが叶わぬことを知っていた
だから少女は引き留めた
アンテナ売りを引き留めた
この町から出ていかぬよう
少女から離れてしまわぬよう
それでも限界はあった
アンテナ売りは町から出て行こうとした
だから最後に少女は頼んだ
この町での最後の仕事を頼んだ
アンテナ売りは引き受けた
それが仕事だったから
それが彼女にしてやれる
精一杯の優しさだと思ったから
アンテナ売りは屋根に登る
少女に頼まれた仕事をするため
少女はじっと眺めていた
アンテナ売りを眺めていた
アンテナ売りは仕事を続ける
少女は待ち構える
アンテナ売りの下で
もう少しで仕事が終わる
アンテナ売りが町から出ていく
「アンテナ売りさん」
少女が呼びかけた
アンテナ売りは立ち上がる
そして足をすべらせた
少女が施した細工によって
アンテナ売りは落ちる
少女の真上に
少女はそれを受け止める
細くやわらかいその腕で
アンテナ売りを抱きしめる
やさしくやさしく抱きしめる
息絶えたアンテナ売りを抱きしめて
少女は笑う
嬉しそうに笑う
やっと私のものになってくれた――
シャララ シャカ シャカ
シャララ シャカ シャカ
やっと手に入れた
ようやく手に入れた
もう離さない
絶対になくさない
誰にも渡さない
この人は私のモノ
大切な大切なタカラモノ
09.08.22
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